ラジオをつけたら、ブラームスの交響曲が流れていた。
今の倍くらい時間をかけて演奏している。ライブで聴いたら、弦に呑み込まれるような感じになるだろう。
ロマン派のテンポは、こんなものだったのかもしれない。
1963年録音というから、指揮者晩年の演奏である。
「法華の凝り固まりが夢中に太鼓を叩くようにやって御覧なさい。頭のてっぺんから足の爪先までが悉く公案で充実したとき、がぜんとして新天地が現前するので御座います」
宗助は自分の境遇やら性質が、それほど盲目的に猛烈な働きを敢えてするに適しない事を深く悲しんだ。