半自叙伝

古井由吉

月報をまとめただけ、ということなのだが、それなりに面白かった。

まず、これほどの文章が書ける人でも、苦しんでいるという事実に改めて感動した。それから、ちょっとした作品案内になっていて、なんとなく懐かしい思いがした(一作を選ぶとしたら『水』とあったが、どんな話だったのか思い出せない)。さらに、伝記のたぐいはみなそうであるが、自分の年齢に重ね合わせて、面白い。この作家が最初に首筋の手術をしたのは、今の私とかわらない年齢だったのだ。

それからもう一つ。連歌を教えてもらう話があった。タイトルは忘れたが、吉増剛造の本を読んでいたら、唐突に、古井由吉の発句が出てきて、なんだこれは、と思った記憶がある。