詩学講義 無限のエコー

耳なし芳一から、立石寺赤城山へ、細い糸でつながっているような、いないような。

いや、多分、そういう読み方がダメなのだろう。吉増剛造という人は、一瞬にかけるパフォーマーなのだ。なにかが見えてくる爆発的な瞬間が眼目であってみれば、時間的な連なりとか、文構造だとかはどうでもいいのである。「無印のメモ」で十分。

何重もの書き込み、修正、書き直し。独り言と、呼びかけ。受講生への、自分への、幻影への、呼びかけ。イメージからイメージへ。目眩のするような「歩行」。

が、結局のところ、この本全体は、「ご報告」であって、それ以上でも、それ以下でもない。