吉田美和子著
赤と黄色の装丁が、書店でひときわ光っていたが、期待を上回る中味だった。
いかにも居場所のないといった感じの、賢治追悼会の写真が印象的。中国の最前線で、辻まことが『障子のある家』を読んでいたというのも凄い。
戦前のある時期までは、詩人+アナーキストという人たちがいっぱいいた。そこから、左翼、右翼への移動がどうなっているのか。
亀之助は1900年に生まれている。
「法華の凝り固まりが夢中に太鼓を叩くようにやって御覧なさい。頭のてっぺんから足の爪先までが悉く公案で充実したとき、がぜんとして新天地が現前するので御座います」
宗助は自分の境遇やら性質が、それほど盲目的に猛烈な働きを敢えてするに適しない事を深く悲しんだ。