2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ペンギン・ハイウェイ

森見 登美彦異邦人のお姉さん+少年と父親の組み合わせならば、ごく普通の物語。ところが、この小説には、お母さんと妹が登場する。少年の家族への帰属がはっきりしていれば、お姉さんの存在がいよいよ正体不明になるはず。だが、お姉さんの存在感が圧倒的で…

罪・苦痛・希望・及び真実の道についての考察

中島敦『全集 2』所収。カフカのアフォリズから10編が訳されている。。解題によれば、1933年の英訳本からの翻訳。成立年代は不明。カフカの日本初訳は、1940年の本野亨一訳『審判』である、とのこと。42年に、中島が病死していることを考え合わせると、いず…

鐘の渡り

古井由吉 「窓の内」「方違え」「机の四隅」が、よかった。 奇妙なイメージが日常の中に浮かび上がってくる様がおもしろい。 「机の四隅」はドッペルゲンガーの話。「影の病」というのは、ドイツ語かと思ったら、歴とした日本語なのだった。