2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Jean Pauls Verhältnis zu Rousseau: nach den Haupt-Romanen dargestellt (1924)

ルソーの人間像は、国家、社会、職業とは無関係に、ただ自然法則にしたがって形成される。それは、人間以前の動物的段階への転落であり、病的で、疲れた状態の産物である。しかしまた、この人間像が、ドイツの旧体制の桎梏を打ち砕く原動力になった、と。

ミレニアム

坪内 祐三『古くさいぞ私は』が出たのは、2000年。この時点で、オールドタイプを自認していたところに、先見の明があったのかもしれない。コンピュータシステムに誤作動が生じると騒がれたのは、その前年だった。この頃には、パーソナルコンピュータがネット…

20世紀的知性

「オールドタイプ」は、別の箇所(上野『思想家の自伝を読む』62ページ)では、「20世紀的知性」のフリガナになっている。今の若い人たちは、古典を読まなくなった。古典を通して、異質なものへ自分を開いていくことができなくなっている、とオールドタイプ…

オールドタイプ

構造主義の思想がよく読まれていた時代、「自分」や「自己表現」に夢中になることは、どちらかと言えば文化的には恥ずかしくみっともないこと、という気分が一般的にあった。(上野俊哉『思想家の自伝を読む』平凡社新書 2010) こういう感覚は、「80年代的…

喫茶店

診察まで、喫茶店で時間を潰すことにした。 上本町は何度も往き来しているが、一本裏を歩くのは久しぶり。何年か前まで、ちょくちょく出かけに寄っていた喫茶店は、しかし、もう仏具店になっていた。あそこでは『週刊SPA!』の福田和也x坪内祐三対談を読んで…

Bayreuth

バイロイト、といっても、ヴァグナーではなく、ジャン・パウル協会。5月21日に、3年ぶりの総会が開催されるとの便りが届いた。 2025年は、没後200年。3年後にはドイツへ行こう。K先生は、卒中で倒れても、ブコビナまで出かけたのだった。

メルク修道院図書館

伊東章氏による「ドイツのトップニュース 22.04.10」によれば、メルク修道院図書館の改修工事が始まったらしい。ヴィーンからドナウ川を下って?(渡って?)いったように記憶していたが、あらためて地図を見れば、メルク修道院はヴィーンと陸続きである。メ…

ガストン・バシュラール『科学的精神の形成』

及川馥訳 平凡社ライブラリー 社会科学、人文科学から見ると、18世紀啓蒙主義は、自然科学的な世界観の産物だった。ところが、自然科学者からすれば、前科学的なイメージに覆われていた時代、ということになるらしい。

あるいはジョッキ一杯の葡萄酒や美女を所望するといった

中世の写本制作は、教会関係者、学生や書記官の副業だっただけではない。債務者監獄の囚人もこの作業に携わっていた。私用のために本を作成する蔵書家もいた。写本の最後には、たんに、explicit と宣言するだけではなく、さまざまな署名が書き込まれていると…

ヴォルフ・レペニース:科学と文学の戦い

『理性の夢 近代における人文・自然・社会科学の危機』(公論社 1992)所収この一節で問題になっているのは、文学と科学ではない。社会学が問題なのである。この分野でもまた、自然科学をモデルとする18世紀啓蒙主義との闘いがあった。しかし、もう一方で、…

朝日新聞将棋欄

C級2組順位戦10回戦。対局者である山本博志4段の自戦記が連載されている。語り手が一人称になると、盤面の見え方も少しちがってくるような気がする。

世界文学

イギリスの文芸評論家トマス・カーライルが、1825年にシラーの伝記を出版する。1830年、それが今度は、ドイツ語に翻訳される。その独訳本には、ゲーテの序文が付けられていて、その末尾に、付け足しのように、「世界文学」が語られている。執筆は1829年、ゲ…

バーリン(佐々木毅 訳)「自然科学と人文学の分裂」

岩波文庫『マキアヴェッリの独創性』所収。 バーリンは、文系/理系の分岐がヴィーコ (Giambattista Vico) のあたりで生じたと考えている。ヴィーコの歴史観が、どういう意味で人文学なのか。ヴィーコはアウグスティヌスに遡り、人間が知りうるのは、人間に…

石原あえか『科学する詩人ゲーテ』慶応義塾大学出版

一読、一般読者向けに書かれた入門書のようだが、実は、かなりの研究を踏まえている。それだけに、科学からポエジーの一方的な影響が気になった。ゲーテの反ニュートンは、結局、文学的なイメージでしかないのだろうか。霧に浮かぶ白虹を「白髪になっても/…