SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

ヤールズ・ユウ(円城塔 訳)
自伝を書いている私が始まりであり、終わりであるという円環構造に、ドッペルゲンガー=モチーフが重ねられている。いかにもジャン・パウル的な構想だが、2010年に発表された、アジア系アメリカ人SF小説なのだ。
だが、よく書けていたのは、主人公の父親。人生に失敗した研究者である。