グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲 リヒテル、マタチッチ、モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団

1974年11月、クロアチアの指揮者とソ連のピアニストが、よりによってモンテカルロで共演。実に怪しい。1974年といえば、まだ中学生だったのか。ボクは。もちろん、冷戦時代のモナコ王国がどんな地政学的な役割を果たしたのか、当時はもちろん、今も知らないが、しかし、モンテカルロという音のならびがすでになにやら怪しげであり、誘惑的だった。
リヒテルのひねくれた顔写真は、東芝EMIのカタログにならんだLPジャッケットの中でも、ひときわ光っていた。
不思議なことに、それから半世紀が経とうとしている今、CDで聴いても、なにか怪しげな感じが抜けない。グリークの第二楽章は、バルト海ではなく、地中海の輝きなのである。