テヘランでロリータを読む

アザール・ナフィーシー(市川恵里 訳)河出文庫
ナボコフを読むことにどんな意味があるのか。イスラム革命まっただなかで、なぜこの女性たちは『ロリータ』を読むのか。ハンバートの滑稽な物語に隠された残忍さが、テヘランの状況とパラレルになっているから。少女に対するあからさまな欲望の表現が、イスラムのモラルに対する抵抗になりうるから。

しかし、この回想録?がすばらしいのは、彼女たちの特異な状況を通して、文学を読むことの幸福を思い出させてくれるからなのである。