微視的探偵法

江戸川乱歩
ユリイカ 5 (1987)所収

リンドバーグ事件で、現場に残された手製の梯子を手がかりに、「木材エキスパート」アーサー・ケーラーが犯人を捜査した話。梯子は木製で、接ぎ木がされていた。その材質、鉋の削り痕を調べ、18ヶ月間、アメリカ全土にわたる材木問屋を訪ね、ようやくニューヨークの問屋にたどり着く。
その間、警察は、身代金につけられた印を手がかりに、容疑者を特定。ケーラーは、容疑者の屋根裏部屋の床板が梯子の接ぎ木に使われたことを突きとめる。
細部へのこだわりは、推理小説の成立に欠かせない要素だろう。
しかし、『オリエント急行』におけるリンドバーグ事件の扱いに比べると、作者の資質の違いを感じないではいられない。