善はどんなことがあっても暴力をふるうべきではない、と・・・

Michel Eltchaninoff という哲学者の "In Putins Kopf"(プーチンの頭)という本が紹介されていた。
大統領に就任した当初、 プーチンの愛読書は、カントだった。ドイツ=ロシア(ケーニヒスベルク=カリングラード)の平和の哲学者。しかし、遅くとも2012年にはすでに、プーチンお気に入りの哲学者は、カントではなく、イワン・イリイン (Iwan Iljin, 1883-1954)だった。この間、ロシアの政策も大きく転換した。ヨーロッパの一員になることよりも、ヨーロッパと一線を画すこと、自己主張が課題となった。ソビエト連邦の没落は、歴史の誤りだった。修正されなければならない。イリインはすでに、西欧が、ロシアを解体し、ウクライナを奪うと預言していたのだった。アレクサンドル・ドゥーギン (Alexander Dugin, 1962- )もこの系列の御用学者である。
プーチンは2022年2月22日の演説で次のように述べた。「善はどんなことがあっても暴力をふるうべきではない、とは誰も言えない。私はそう思わない。自己自身を防衛することができればこそ、善はありうる。」
(Die Zeit Nr. 10, 03.03.2022. "Wer sagt denn, dass das Gute immer gewaltfrei sein sollte?"... von Thomas Assheuer)