明智小五郎事件簿 IX
この小説で、少年探偵団が結成される。
(...) きみのはたらきのことを、学校でみんなに話したら、ぼくと同じ考えのものが十人もあつまっちゃったんです。
それでみんなで、少年探偵団っていう会をつくっているんです。むろん学校の勉強やなんかのじゃまにならないようにですよ。ぼくのおとうさんも、学校さえなまけなければ、まあいいってゆるしてくだすったんです。
1936年、『少年娯楽部』に連載。同じ雑誌に、『のらくろ』が連載されている。『のらくろ』の連載開始は、1931年。
ところが、二十面相のおもわくはがらりとはずれて、小学生たちは、にげだすどころか、わっとさけんで、賊のほうへとびかかってきたではありませんか。
読者諸君は、もうおわかりでしょう。この小学生たちは、小林芳雄君を団長にいただくあの少年探偵団でありました。
『一寸法師』の作者がこういうテクストを書いたのは、やはり時代の圧力がかかっているのか。あるいは、これも作者の力業というべきか。
どういうわけか、今回は『蜘蛛男』を読んだときのような既読感がまったくなかった。『怪人二十面相』はぜったいに読んでいたはずなのだが、