バルト:恋愛のディスクール

「(ウェルテルは、)〈私は-あなたを-愛しています〉と言うことが(いかなる理由があるにせよ)一度もできなかった人物である」。
1975年1月23日の講義では、Ich liebe dich. (私はあなたを愛している)が一塊の叫びであり、そこには、要求、充足、弁証法という「3つの響き」が聞き取られると言われる。ウェルテルは「要求-欲望が悪化」して死んだのだ、と。
1976年1月26日の講義は、恋愛対象がテーマになっているのが、どういうわけか、この箇所が復習されている。
「要求の〈想像界〉:「私は-あなたを-愛しています」は存在を要求する言葉である(「そこにいて」、「私に話しかけて」、「私を愛して」)。」
それで、フロイト死の欲動 いる/いない が問題になったのだった。
では、この要求はどのような形で充足されるのか。
「空想されることとしては、呼びかけと答えが同時に行われること、完全に同時に起こること」である、とバルトは言う。