鈴木武樹訳『見えないロッジ・第一部』

ジャン・パウル=文学全集1(創土社) 天牛堺書店にて購入。2巻揃いでゴム止め。各980円。 拾い読みしてみて、判ったことは何か? もし新訳を出すつもりなら、この翻訳は読まない方がいい。この文体で訳し始めたら、多分、この翻訳を超えることはできな…

Interpretationen

Deutschlandrundfunk.Kultur の音楽番組。日本時間で、日曜22時から0時まで。 昨夜は、シューマンの第四交響曲をどう演奏するのか、という話。いくつかのテーマを中心に、聞き比べをするので、素人にも、演奏によってどのくらい曲の感じが違ってくるのか…

Joachim Kaiser

dradio.de / Kultur を聴いていたら、シューマンのクライスレリアーナの話をしていた。一曲ずつ、それがどういう音楽なのか、言葉をつくして語っていく。そして、それぞれの曲について、何人かの演奏を紹介していた。 まず、ヴィルヘルム・ケンプが出てくる…

Logen-Blog

https://www.literaturportal-bayern.de/blog?task=lpbblogs&layout=category&category=179 Frank Piontekによる、毎日、ジャン・パウル『見えないロッジ』を読む試み。24.09.2012に始まって、22.12.2014に終わっている。

自由の創出

ジャン・スタロビンスキー(小西嘉幸 訳)四天王寺の古本市で購入。1000円。 18世紀がロココ趣味だけではないことは判る。自由がひょっとしたら、発明されたものかもしれないことも判る。しかし、自由とノイマンのバロック教会がどのように結びつくのか。 …

吾輩は猫である

朝日新聞連載終了。といっても、この作品はもともと朝日新聞とは関係がない。 猫が最期に呑むのは、酒だとばかり思っていた。 思えば、中学生だか、小学生だかの頃、『路傍の石』や『次郎物語』といっしょに、子ども向けの本で読んだきりだった。ビールでは…

Adolf Wölfli 1864-1930

名古屋市美術館で回顧展を見た。 絵画というのか、本というのか、とにかく稠密に描き込まれた線描がそれだけで、表現になっている。精神病棟で制作されたという。 フロイトが生まれたのが、1856年。シュレーバーは、1842年に生まれている。ユングは、1875年…

聖アントニウスの誘惑

クラーナハ展(大阪国立国際美術館) 全景には、幻想に捕らえられ宙に浮かんだアントニウス。まるで聖人自身が幻想の一部になってしまったかのようである。しかしまた、遠くに見える町は、なにごともなかったかのように静かで、これまた不気味である。 遠景…

バッハ『音楽の捧げ物』

Herbert Kegel u. Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig, 1972 フリューゲル=ピアノフォルテのボヤーっとしたリチュルカーレで始まり、ゆっくりとフーガ、カノン、ソナタが続く。後半は、パウル・デッサウとヴェーベルンの編曲が並んでいるが、まるで最初か…

ひかり埃のきみ

福田尚代 回文。前から読んでも、後ろから読んでも同じ文字列。たとえば、 眼鏡がない。田舎ね。カメめがねがない。いなかね。かめ。 なんていうレベルなら、ちょっと考えればできる。 しかし、これが何行にも渡り、次から次へと何ページもくり出されてくる…

『歌の子詩の子 折口信夫』

持田叙子 著 幻戯書房 岩野泡鳴、鉄幹、晶子、鴎外、啄木といった周辺の人たちとの関係がおもしろい。

Altweibersommer

Altweibersommer ist in deutschsprachigen Ländern die Bezeichnung für eine meteorologische Singularität. Es handelt sich um eine Phase gleichmäßiger Witterung im Spätjahr, oft im September, die durch ein stabiles Hochdruckgebiet und ein war…

『楡家の人びと』

北杜夫トマス・マンを読むなら、楡家の人びと、と、勧められたことがある。作者は、マンのどこを学んだのだろうか。 - 戯画化された人物像- 史実と(虚構の)家族史の交差 しかしまた、 - 自然描写- 病気、死の描写- 戦争体験の記述(城木という登場人物を設…

The Danish String Quartet

Per Nørgård: SQ Nr. 1, Quartetto Breve (1952) Schostokowitsch: SQ Nr. 15, Es-Moll, op. 144 (1974) Beethoven: SQ Nr. 12, Es-Dur op. 127 (1823/24) 音を押し殺したような二つの曲の後に、ベートーベンを聴くと、アダージョですら晩年の重苦しさを感じ…

Ferrucio Busoni

GrauSchumacher Piano Duo Improvisation (1916) Fantasie (1922) Duettino Concertante (1919) Fantasia contrappuntistica (1921) 生誕150年になる。 演奏会は、二台のピアノのための作品。なんだかオルガン曲みたいだった。

[本]のメルマガ vol.617

なにはともあれ書きたいという情熱がなければ、モノを書くことはできない。楽しそうに書いている人の文章を読むと、羨ましくなる。 長らく受信したままになっていたメルマガだが、読んでみれば、なんだかおもしろい。 たまたま spam となってひっかかってい…

単独者のあくび 尾形亀之助

吉田美和子著 赤と黄色の装丁が、書店でひときわ光っていたが、期待を上回る中味だった。 いかにも居場所のないといった感じの、賢治追悼会の写真が印象的。中国の最前線で、辻まことが『障子のある家』を読んでいたというのも凄い。 戦前のある時期までは、…

Hans Knappertsbusch

ラジオをつけたら、ブラームスの交響曲が流れていた。今の倍くらい時間をかけて演奏している。ライブで聴いたら、弦に呑み込まれるような感じになるだろう。ロマン派のテンポは、こんなものだったのかもしれない。 1963年録音というから、指揮者晩年の演奏で…

憲法13条 「すべての国民は、個人として尊重される」

改憲草案では、「個人」が「人」に書き換えられているという(朝日新聞朝刊 天声人語)。個人が尊重されない国で、人が尊重されることはない。それにしても、首相は選挙の勝利=改憲支持をほとんど確信している様子。そういう世の中になってしまったのだろう…

トリオ ジャン・パウル

http://triojeanpaul.de/ ジャン・パウルの名を冠したのは、シューマンに特別の親近感があるから。「詩的な音楽」というロマン派の理念を介して、古典音楽と現代音楽を結ぶのだ、と。

門 99回(朝日新聞朝刊)

「法華の凝り固まりが夢中に太鼓を叩くようにやって御覧なさい。頭のてっぺんから足の爪先までが悉く公案で充実したとき、がぜんとして新天地が現前するので御座います」 宗助は自分の境遇やら性質が、それほど盲目的に猛烈な働きを敢えてするに適しない事を…

鶴見俊輔 『埴谷雄高』

同時代批評の凄みというべきか。両者の間の離接に臨場感がある。 埴谷雄高は、マクス・シュティルナーを通して、アナーキズムに接近していったのだという。

三輪太郎『憂国者たち』

群像九月号 三島由紀夫の『豊穣の海』は、いまだ読んでいない(絶対に読め、と言われたにもかかわらず)ので、ただの当てずっぽうだが、ひょっとすると、この物語はその第五部にあたるのかもしれない。それにしても、この大量難民の時代に、「本物の天皇」や…

ボディ・クリティシズム

バーバラ・M・スタフォード(高山宏 訳) 神経系モデルの人間学が、解剖学モデルに対立するという見方がおもしろいと思った。リヒテンベルクの Pathognomie の表面性も、この繋がりで積極的な意味を帯びてくる。ラファータの観相学にある神学的な深みを用心…

高橋源一郎『「あの戦争」から「この戦争」へ』 と 荒川洋治『文学の空気のあるところ』

二人とも、社会の中に入っていって、文学を探している。 高橋氏の方が、より徹底的なのは、たぶん、文学の力をもうあまり信じていないからだろう。にもかかわらず、文学があるとすれば、こんな風なんだろうと思わせるようなところがある。いろいろなことを知…

C. A. F. Kluge: Versuch einer Darstellung des animalischen Magnetismus, als Heilmittel, Wien 1815

1800年前後のヴィーンは、違法出版が公然と行われ、検閲も厳しかった。オン・デマンドで簡単にコピーを取れる時代になったが、専門家の手が入っていないだけに注意が必要である。Kluge 正本は、Berlin 1811 Johann Christian Reil, Johann Christoph Hof…

神々のたそがれ

アレクセイ・ゲルマン監督たそがれ、というより、いない、という方が近いだろう。神のいない世界には、時間的にも空間的にも、およそパースペクティヴがない。切れ切れの接写で構成される場面、反復される物語。 文明化を知らない世界。牛や豚と変わらない人…

文体

後藤明生、坂上弘、高井有一、古井由吉 編集 1978年の創刊号から1980年最終号まで、季刊全12冊を一冊220円で購入。天下茶屋の喫茶店で、最終号掲載の川村二郎の神社の話を読んだ。神明造とか、権現造とかいう様式論が本題なのだろうが、こちらの勉強不足で…

ジャン・パウル『抜き書き帖』

草稿資料がデジタル化された。 Jean-Paul-Portal: Projektdetails 『抜き書き帖』を自宅で読むことができるようになるとは、研究を始めた頃には夢にも思わなかった。著作権切れの資料も簡単にネット経由で入手することができる。 Heidelbergische Jahrbueche…

オールド・テロリスト

村上龍 小説という形式を使って、近年のテロリズムを内側から描いてみせた傑作。 文藝春秋連載は、昨年夏に終わっているはずだが、いまだ単行本がでないのは、どういうわけだろう。 >>> いや、イスラム国関連の一連のテロは、端的な人間憎悪という点で、『オ…